ニュース 2023.07.12
竹内代表理事は、自然エネルギー財団が主催した鉄鋼業における脱炭素化促進に関するセミナーに登壇し、ドイツのシンクタンクであるアゴラインダストリーが公表した「世界の鉄鋼産業の脱炭素化に関する15の知見」で示されたポイントについて投資家の視点から問題提起を行いました。
鉄鋼セクターが直接排出するGHG排出量は、日本全体の約13パーセント、産業部門の約4割を占めます。また、鉄鋼製品はサプライチェーンを通して建設、自動車、造船など幅広い産業セクターで使われており、多くのセクターでスコープ3の重要な部分を占めています。今般のアゴラインダストリーのレポートでは、「2040年代初頭までに鉄鋼セクターの排出を実質ゼロにすることは技術的に可能である」と明言しています。レポートは大変明るい内容である一方、投資家の視点に沿うならば、実質ゼロの実現が企業価値向上に資するためには、①ニアゼロエミッション製鉄の製造コスト、②顧客ニーズに応じた鉄鋼製品の質、③新技術実用化のタイミングと高炉改修のリスク、などの課題があることを指摘しています。そして、これらの課題に個別企業が対応し野心的に行動するためには、包括的な政策パッケージが重要である点もレポートでは指摘しています。
CAJは引き続き、機関投資家と協業し、日本の製鉄企業とのエンゲージメントを通じて、鉄鋼セクターの脱炭素化の取り組みを後押ししていきます。
セミナーの詳細はこちらからご確認ください(自然エネルギー財団のサイトに移ります)。