ニュース 2024.01.15

竹内CEOによるCOP28視察報告「国際合意と企業行動への影響」(於スチュワードシップ研究会)

竹内CEOは、昨年12月にドバイで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)に日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)視察団の一員として参加し、多くの重要なステークホルダーと個別会談を行いました。そこで得た情報に竹内個人の見解を交えつつ、スチュワードシップ研究会の会員様向けに政策、金融、企業の各視点から考察した「国際合意と企業行動への影響」について報告いたしました。要点は以下の通り。

政策

● 脱炭素化の実現にむけた気候変動・環境政策は「経済産業政策」となってきている。他の先進国、例えば欧州(EU)や米国では、企業の脱炭素化行動が経済合理性にあうような政策を導入している。そこでは予見可能性が非常に重要となってくる。EUでは域内排出量取引制度(EU ETS)やカーボンプライシング(CP)といった規制の導入、米国では税制優遇や補助金給付を謳ったインフレ抑制法(IRA)の施行により、実際に企業の脱炭素化の動きが加速している。

●   日本のグリーントランジション(GX)戦略をみると、「GX実現に向けた基本方針」の下でGX経済移行債が発行されるなど、ようやく具体的に動き出している。実際に企業が経済合理性をもって脱炭素化の動きが加速化することが期待されるが、その政策の有効性と真剣度が試されている。

金融

● 気候変動は金融セクターにも大きな影響を与えている。リスク計量化の試みでは、移行リスク、物理的リスクに加えて政策リスク、サプライチェーン全体への影響も考慮している。中⾧期のリスクを踏まえた戦略が重要。

●   機会として捉えている投資家によって、アーリーステージのクライメート・テック(気候テック)への投資が拡大傾向。

企業

● リスクとオポチュニティを総合的に勘案して戦略を立案して実行する必要。

● 企業は自社のみならず、サプライチェーン全体としての移行計画が必要。

● 脱炭素の遅れはサプライチェーンから外されるリスクがあることに留意。

結論(CAJ竹内個人の見解)

● COP28での国際合意はその文言にかかわらず、いろいろな経路でスタークホルダーの行動変化と市場環境の変化を呼び起こし、企業行動にも影響を及ぼす。

● 脱炭素社会への移行は、いわば経済システムの構造的大変換。そこにはリスクとチャンスが混在する。

● 現在の延長線としての戦略ではなく、移行の先を見据えた中長期の視点でリスクと機会を冷静に分析した上で、変革のための企業行動をとることが求められている。

CAJは、脱炭素社会への移行に向けた企業の行動変革を一層促進するとともに、日本が気候変動対策でリーダーシップを発揮するよう、国際合意の動向や日本の経済産業政策への含意、及び企業行動における影響を注視してまいります。