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政府の「地球温暖化対策計画(案)」および「第7次エネルギー基本計画(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)への意見提出

一般社団法人コーポレート・アクション・ジャパンは、政府が取りまとめ、2024年12月27日から1か月間パブリックコメントを募集していた「地球温暖化対策計画(案)」および「第7次エネルギー基本計画(案)」に対し、意見を提出しました。これは当団体が促進する脱炭素社会に向けた長期的企業価値向上の観点等から、両案に対しより野心的な気候変動対策への見直しを求めるものです。 以下、コメントの要旨となります。

                            (記)

  1. 地球温暖化対策計画(案)に対する意見
    1. 削減目標 

IPCCの第6次評価報告書によれば、気温上昇を50%以上の確率で1.5度以下に抑えるためには、世界全体の温室効果ガス排出量を2035年までに2019年比で約60%削減する必要があります。本案の目標(2013年比60%削減)はこの水準に不足しており、2013年比であれば最低でもG7で合意した66%削減を目標とすべきです。

  • 限界削減コスト 

複数のシナリオ分析の中で、本案が限界コストにフォーカスしたデータに大きく依存していることは、EBPM面から政策を誤るリスクがあります。脱炭素化に伴うコスト上昇の抑制を考慮しつつ、一方で新たな雇用創出や産業競争力、自然災害の緩和などの要素を含め、総合的な分析をする必要があります。 

  • 国際競争力 

気候変動をはじめとする環境問題への対応は、企業の経営上の課題であるとともに、国内外の投資家も長期投資の観点から注視しております。RE100JCLPが提言で求めているように、国際競争力強化のためにも本案より野心的な削減目標が必要です。 

  • 決定プロセス 

パブリックコメントに寄せられた意見を踏まえて改めて合同会議を開催し、本計画にそれらの意見を反映すべきか否かを委員の間で議論する必要があります。 

  • 第7次エネルギー基本計画(案)に対する意見
    • 気候危機の深刻化 

世界の温室効果ガスの排出量が減少に転じておらず、将来の気候変動の深刻化が懸念される現状に鑑み、さらに野心的な削減目標に基づいた、再生可能エネルギー割合を本案以上に増加させたエネルギーミックスが必要です。 

b.  国富の向上 

エネルギー供給に関する地政学的リスクや価格変動リスクの低減を通じたエネルギー安全保障の向上と、化石燃料の輸入による国富流出を抑制するため、国産の太陽光や風力発電の割合を本案よりさらに高めるべきです。 

  • 国際的信用 

再エネにかかる国際合意(COP28で合意された2030年までに再エネ容量3倍、G7広島サミットで合意された2035年までに電力部門の完全または大部分の脱炭素化を達成するなど)を遵守することが、わが国の国際信用力を高めます。本案の2040年度再エネ割合4割―5割への増加は、国際公約からの観点からすると不十分であることから、本案の修正が必要です。  

  • 経済競争力 

国内で再エネの調達が進みにくい状況が続く中で、国際的なサプライチェーンから脱炭素化の要請を受けている企業は、サプライチェーンから除外されるか、拠点を国外に移転させなければならなくなり、日本の経済競争力に深刻な懸念となります。企業や再エネ事業者が確固たる将来予見性に基づき安心して大規模投資を行えるように、再エネ割合の大幅な増加を目標とすることが必要です。 

  • 決定プロセス 

パブリックコメントを含め、多様な主体からの意見を取り入れた、透明性のある議論を通した計画の決定プロセスの強化が必要です。 


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