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日産自動車による「日本市場でグリーン鉄の採用拡大」を歓迎

日本の大手自動車メーカーである日産自動車株式会社(以下、「日産自動車」)の株主であるコーポレート・アクション・ジャパン(CAJ)他 から成る株主グループ(以下、「株主グループ」)は、同社が日本市場におけるグリーン鉄の採用拡大を発表したことを受け、以下の通り声明を発出します。

日産自動車は、本年(2025年)2月7日、日本国内市場において、製造時の二酸化炭素排出量を削減したグリーン鉄鋼板の採用を拡大することを発表しました。

私たち株主グループは、日産自動車と、信頼性の高い気候移行計画や情報開示について建設的な対話を続けてまいりました。今回の日産自動車によるグリーン鉄採用拡大の発表は、脱炭素化社会の実現に向けた重要な一歩であり、同社が、自動車のライフサイクル全体のカーボンニュートラル実現の重要性を認識していることの証左として受け止めています。また、日産自動車による明確なグリーン鉄採用拡大の意思表示は、日本国内のグリーン鉄市場の拡大促進に貢献するとともに、世界的にグリーン鉄需要増加が予想される自動車業界において[1]、日本企業の競争力強化に資するものであると評価し、今回の発表を歓迎しています。鉄部品は車両重量の約60%を占めており、今回の日産自動車の発表はそのサプライチェーンを通して、前向きな需要サイドのシグナルを広く送ることとなります。さらに、サプライヤーにおいても二酸化炭素排出削減に向けた移行がさらに加速することを期待しています。

一方で、私たちは、現在一般社団法人日本鉄鋼連盟のガイドラインが定義するマスバランス方式を使った低炭素製品の評価基準や削減量の管理に懸念を抱いています。将来的なグリーンウォッシュのリスクを回避するためにも、日産自動車による、実際の排出削減量データに基づいたより透明性の高いグリーン鉄の定義策定に向けた議論推進への貢献を期待します。

私たちは、日産自動車が今後も透明性の高い情報開示を行い、グリーン鉄の採用拡大をはじめとする脱炭素戦略を強化することは、脱炭素社会移行期における企業価値の向上につながると考えています。同時に、他の日本の自動車会社においても、グリーン鉄の採用をさらに積極的に検討し、脱炭素化に向けた取り組みを加速していくことを期待します。


コーポレート・アクション・ジャパンの竹内 靖典 代表理事のコメント

「欧州では既に、鉄鋼会社と自動車会社がグリーン鉄の製造と調達について協力してプロジェクトを進めている例が見られます。今回の日産自動車の発表は、日本の鉄鋼会社に向けた低炭素鉄に対する重要な需要シグナルにとどまらず、自動車産業を支えている幅広いサプライヤーに対しても脱炭素に向けた力強いメッセージだと評価しています。 コーポレート・アクション・ジャパンでは、今後とも中長期的な企業価値向上とサプライチェーンを通じた日本の産業競争力向上を目指して、機関投資家と共同して企業との建設的な対話を継続してまいります」


[1] Green steel in cars briefing_July 2024.docx

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